本計画は成増という傾斜地の住宅街に位置し、敷地は駅へと繋がる緑道に面していた。その豊な環境を敷地内に引き込み、道を延長させることで緑の記憶を引き継ぐ事が出来るのでは?という考えが設計の手掛かりとなった。東側の前面道路と西側の緑道を敷地内通路で繋ぎ、敷地は道路と分断するのではなく、むしろ開放させ、通り抜けが出来る構成で、近隣住民の利便性に寄与し、地域のコミュニティーを育む小道を仕掛けた。
■22の立体住宅群
計画地は敷地内で高低差が7m有り、なおかつ不整形で扱いにくい敷地であった。この敷地の特性に素直に従い、ポテンシャルを最大限に引き出した答えがボリュームを小さな単位の22住戸に細分化することだった。高低差の処理にそれぞれレベルが異なる6つのボリュームに分割した。不整形で一見使えそうにない空間は、ヒューマンスケールぎりぎりで考えることによって活路を見出した。高度斜線を避けつつ、22住戸を立体パズル化することで、変化に富んだ豊な住まいを目指した。
■2~4コ1プラン
時代に合わせて可変性を持たせる為、構造は薄肉ラーメンを採用し、構造上必要でない壁は全て乾式壁とした。明らかな人口減少に対して、住居の供給量が増えると予想される中、将来の住居選びの一つの指標として、半分オフィス半分住居など、バラエティーに富んだ住居が選ばれるのではないか。そんな時代が来ることを踏まえ、2~4住戸を1住戸に合体させる事が出来るよう計画している。
- 所在地
- 東京都板橋区成増
- 階・構造
- 3階建てRC造
- 面積
- 延床面積 775㎡
- 竣工
- 2018年12月
- 用途
- 長屋
- 委託内容
- 基本設計/実施設計/工事監理
- 共同設計
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